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作品解説①自殺は個人の自由か?、アゲハとはー舞台「君たちはどう死ぬか?」

25年前の論争-「自殺は個人の自由か?」

25年前、自殺志願者がネット上で集まっていた場所に藤岡はたむろしていました。
自らもアングラな自殺サイトを主催し「いつでも死ねる自由」を標榜していました。

ハカセ「寄生されたマルハナバチ、座礁したクジラ、海に飛び込むレミング、悲嘆にくれるチンパンジー。彼らはいずれも自殺する動物の代表例です。」 (シーン”ハカセの論理2ーはみ出し者の遺伝子。死すべき者たち”)

ある時、界隈で論争が巻き起こりました。「自殺は個人の自由であるか?」と。
藤岡は「いつでも死ねばよい」ことを主張しました。
一方、驚いたことに「人は自ら命を断つべきではない」という論旨で自分に反論する者が現れました。
自殺サイトに集まる自殺志願者たちの話し合いであるにも関わらず。
そして、その意見は支持を集めました。
藤岡の意見に与する(くみする)者も多かった。だが、割合は二分していました。
死にたくない人たちの存在と、理想論=綺麗事を好む声がこの場においてこんなに大きいのかと藤岡はいたく動揺しました。
一方で、このまま自分が「自殺は個人の自由である」主張を続けると、自分の言葉を胸に抱いて最後の決断をする人が現れるのでは、という疑念に囚われるようになりました。
それはできなかった。
藤岡は口を噤む(つぐむ)ことで論争から降り、自らの負けを認める形でその場を離れたのです。

アゲハとは

アゲハ「女は人生の一番美しい時に死にたいものなの。その後の人生は蛇足でしかない。私はこんなに長生きするんじゃなかった。」

藤岡が青春時代に知り合った、愛すべきあばずれ女のその後をイメージしたキャラクターです。
アゲハのモデルとなる女性と藤岡は恋愛関係にあった。しかし、その奔放さ故に彼女を自分の元にとどめておくことができなかった。そんな切ない失恋を経験しました。
本公演ではアゲハに魅力を感じられた観客が多かったようです。

(写真:佐藤洋志)

投稿日/更新日:2025.01.24/2025.01.30